事件の全体像

この事件の全体像および問題点を簡潔に説明するのは極めて困難である。そこで外山が獄中で本件が大々的に新聞報道される妄想を拡げて執筆した、自作自演的な架空の新聞記事を以下に掲載し、この困難の解決を企図することおにした。なお、文中3名が取材に応じてコメントを寄せたかに記述されているが、当然これも外山の妄想であって、事実、このようなコメントが存在するわけではないことをお断りしておく。

以下、仮想新聞記事


同一被告に二度の“異例に重い”判決
“法廷パフォーマンス”が原因?
即時釈放を求める動きも

 福岡地裁・高裁で2001年から03年にかけて、同一の被告に対する二件の刑事裁判で、通常では考えられないほどの重い判決が言い渡されていることがわかった。関係者からは、「あまりにも不自然」と、これらの判決を疑問視し、この被告の即時釈放を求める動きも広がっている。

 問題の判決を受けたのは、福岡拘置所在監の外山恒一被告(32)。外山被告は、99年3月、交際中の女性を殴り鼓膜の破れるケガを負わせたとして、事件発生から1年以上を経た翌2000年5月、任意で警察の取調べを受けたのち書類送検され、同12月、傷害容疑で在宅のまま起訴、翌2001年2月から福岡地裁(林秀文裁判長)での公判がおこなわれた。
 外山被告は、「法廷を自分の劇場にする」などと周囲に話し、演劇公演の告知に見せかけた傍聴勧誘ビラを配布したり、公判の様子を冗談めかして報告するようなホームページを開設するなどした。また実際の法廷でも、全長12メートルもの巻物状の陳述書を持ち込んで一時間あまり朗読したり、人定質問に際して職業を「革命家」と答えたことに対し裁判所側が「自称革命家」と公式に記載したことへの抗議として、裁判官に「自称裁判長」と呼びかけるなどした。外山被告の陳述に拍手をした傍聴人が退廷させられたこともあった。
 林裁判長は同年8月、「反省の色がまったく見られない」などとして、懲役10ヶ月(求刑1年)の実刑判決を言い渡し、被告は控訴、上告したがいずれも棄却され、翌02年7月、刑が確定した。
 この判決について控訴審・上告審を担当したM弁護士は、「あまりにも厳しい。初犯の、しかも逮捕すらされていない軽微な事件で、いきなり実刑を言い渡すなど普通は考えられない。被告の法廷での言動が裁判官の心証を極度に害した結果であることは明らかだが、それらは非常識とはいえ合法の範囲内でおこなわれたもので、それが判決に影響を与えたとすれば非常に問題」と話す。
 傷害罪での判決が確定する直前の2002年5月、外山被告は、前記ホームページ上で、被害者女性の代理人を務める弁護士が所属する法律事務所とその代表弁護士を誹謗中傷したとして、名誉毀損の容疑で逮捕され、これが初めての身柄拘束となった。その後まもなく傷害罪での刑が確定したため、同被告は、「余罪受刑者」として、福岡拘置所内で通常の受刑者と同様の矯正作業に従事しながら、同年7月から、名誉毀損容疑での公判に出廷したが、同11月、福岡地裁の陶山博生裁判長は、検察側の求刑通り、懲役一年の実刑判決を言い渡した。
 担当したU弁護士は、「厳しすぎる。裁判官が最初から被告に対して偏見や先入観を抱いている印象があった。名誉毀損事件では、罰金刑が普通で、懲役刑が選択されるのは内容・規模ともによほど悪質なケース。一日わずか10数人が閲覧するサイトでの事例にこの判決では、むしろ検察官の方が驚いたのでは」と言う。
 過去の例では、右翼団体の代表が「社長はホモだ」などと1ヶ月以上も街宣車で騒いだ事件や、99年の東京都知事選で「石原(現都知事)の息子はオウム準幹部」などと記載した怪文書を自民党都連幹部がが発行した事件などで懲役刑の判決が出ているが、いずれも執行猶予つき。
 外山被告はその後、名誉毀損事件の控訴審で、傷害事件公判の際の言動などを謝罪した結果、改悛の情を認められ懲役8ヶ月に減軽されたが、ホームページを見た市民らで結成された支援団体のメンバーは、「1年だろうが8ヶ月だろうが実刑は異常。控訴審での謝罪も事実上強要されたに等しく、思想・良心の自由の侵害だ。これはもはや裁判を装った裁判官による私刑。すでに執行を終えた傷害事件での服役も本来は必要なかったもので、最高裁は即刻被告を釈放する判決を出すべき」と怒りをあらわにした。しかし現実には、最高裁は憲法違反や判例違反以外の、量刑不当などの訴えは原則として受けつけないことになっており、上告は棄却される可能性が高い。
 外山被告は89年、『ぼくの高校退学宣言』などの本を出して管理教育に反対する中高生グループのリーダーとして活動し、90年初頭には福岡のストリート・ミュージシャン第一号として同地の街頭文化を盛りたてた。最近では、「無職青年者」を名乗り「めざせ失業率100%」などと歌う音楽テープを配布したり、99年の福岡知事選で「棄権分子」と称して「投票率ダウン・キャンペーン」を展開するなど、毒のある奇抜な“運動”で知られている。

(これは裁判官の職務内の不正であり、はっきり言えば職権濫用罪相当で、職務外で不正をした古川元福岡高裁判事よりずっと問題と思う)


テキスト化前の外山氏直筆の手紙のスキャン画像はこちら
手紙1枚目
手紙2枚目
手紙3枚目
手紙4枚目


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