第2回 西原村アカデミア(2026年1月12日)

第2回 AI活用勉強会 議事録

* 開催日時: 2026年01月12日 13:00~
* 場所: 西原村むすひの杜
 

1. 勉強会の目的とAI活用の現状確認

本勉強会は、参加者の皆様のAI活用スキルを、単に情報を「調べる」段階から、コンテンツを能動的に「作る(生成する)」段階へと引き上げることを目的としています。現状、多くの方がAIを高度なGoogle検索のように利用していますが、そこから一歩踏み出し、AIの生成能力を使いこなすことは、個人の影響力を高め、ビジネスオペレーションを効率化する上で極めて重要な戦略的転換点となります。
参加者の皆様の現在のAI利用状況に関するヒアリング結果は、主に以下の2つのレベルに大別されました。
* 初心者レベル:
* AIに質問を投げかけ、回答を得るというGoogle検索に類似した使い方を主としている。
* 過去に初期のAI(ChatGPTの旧バージョンなど)が事実と異なる回答(嘘)を生成した経験から、その能力に対してまだ半信半半疑な部分がある。
* 中級者レベル:
* 日常的にAIを利用しており、カードの解釈を深掘りしたり、仕事関連の調査を行ったりするなど、より具体的で専門的なタスクに活用し始めている。
この現状は、AIが生成する情報の信頼性という課題が、より高度な活用術を学ぶ上での最初のハードルであることを示唆しています。この点を踏まえ、まずはAIの進化と、かつて問題視された「嘘をつく」現象について理解を深めることが不可欠です。
 

2. AIの進化と注意点:ハルシネーション問題

AI、特にその初期モデルは、事実に基づかない情報をあたかも真実であるかのように生成する「ハルシネーション(幻覚)」が課題でした。この現象は、初期のモデルが検証可能なデータを持たない場合でもっともらしいテキストパターンを生成するよう設計されており、事実の正確性よりも会話の流れを優先したために発生しました。これがAIへの不信感を生む主要因でしたが、現在のAIはこの問題に大きく対処し、進化を遂げています。
勉強会で共有されたハルシネーションの具体例は以下の通りです。
* 例1:飲食店検索
* 熊本や山口で地元の季節料理が美味しい店を尋ねた際、実際には存在しない架空の店舗情報を生成。住所や「近くの農家から仕入れている」といった店の背景まで、詳細かつもっともらしく回答したケース。
* 例2:動物病院検索
* おすすめの動物病院をリストアップするよう指示した際、リストの中に人間向けのクリニック情報を含めて回答したケース。
現在の最新AIモデルではハルシネーションの発生率は劇的に低下していますが、リスクがゼロになったわけではなく、依然として数パーセントは存在します。したがって、利用者はAIの回答を鵜呑みにせず、あくまで参考情報として扱い、最終的な事実確認(ファクトチェック)を怠らない姿勢が重要です。
このリスクを明確に理解し、その軽減策を講じることで、私たちは事実確認の段階を自信を持って乗り越え、AIの真の強みである創造的な生成活動へと移行できます。次章では、それを実現するための具体的なワークフローを探求します。
 

3. AI活用のステップアップ:生成AIによるコンテンツ制作の実践

議論の焦点は、AIの限界を理解することから、その力を最大限に活用することへと移行しました。本章では、受動的な情報消費から能動的なコンテンツ制作へと転換するための核となる手法を概説します。これは、現代のデジタル環境において影響力を構築し、ビジネスオペレーションを効率化するための極めて重要なスキルです。
 
3.1. 音声データのテキスト化と自己コンテンツ化
会議やセミナーでの会話は、インターネット上には存在しない貴重な「一次情報」です。これらを録音し、AIを用いて資産化するプロセスは、極めて価値の高いコンテンツ創出手法となります。生の会話を価値あるコンテンツ資産へと転換するため、以下の戦略的ワークフローを採用します。
1. 録音: iPhoneの「ボイスメモ」などのアプリで会議や会話を録音します。
2. アップロード: 録音した音声データをNotebookLMなどのAIツールにソースとしてアップロードします。
3. テキスト化・要約: AIに「この会話を文字起こしして」「要点をまとめて」などと指示するだけで、自動でテキスト化され、さらに要約や箇条書き形式に整形されます。
4. コンテンツ化: 生成されたテキストを元に、ブログ記事、SNS投稿、さらには電子書籍の原稿として活用します。
 
3.2. ビジュアルコンテンツの生成(チラシ・キャラクター)
AIを活用することで、デザインの専門知識がなくとも、プロレベルのビジュアルコンテンツを容易に作成できるようになりました。ヒューマンデザインのイベントチラシ作成がその好例です。
チラシ作成のプロセスは以下の通りです。
1. コンセプト入力: 「ヒューマンデザイン」の4つのタイプ(ジェネレーター、プロジェクター等)の概念や特徴をAIにテキストで読み込ませます。
2. スタイル指示: それらの概念を「人気漫画『ワンピース』のキャラクター風に描いて」と、具体的な画風を指示します。
3. 生成: AIがコンセプトに基づいた独自のキャラクターデザインと、プロがデザインしたような洗練されたチラシレイアウトを自動で生成しました。
4. 応用: 参加者の写真をAIに読み込ませ、その人物をモデルにしたオリジナルキャラクターを生成することも可能であり、パーソナライズされたコンテンツ制作への展開も示されました。
 
3.3. 画像から動画への展開
静的な画像コンテンツも、AIを使えば容易に動きのあるビデオコンテンツへと変換でき、訴求力を飛躍的に高めることができます。前項で作成したヒューマンデザインのチラシ画像を動画生成AIのGrokに入力することで、キャラクターが動く魅力的なプロモーションビデオが生成されました。
この高品質な動画制作の民主化は、中小企業や個人クリエイターにとっての参入障壁を効果的に取り除き、従来の莫大なコストをかけることなくプロレベルのマーケティングを可能にすることで、競争の土俵を平等にします。
 
3.4. 既存資料の再活用と多メディア展開
過去に作成したチラシなどの既存資料も、AIにとって貴重な情報源となります。例えば、古いチラシをスマートフォンで撮影し、その画像をAIに読み込ませるだけで、様々な新しいコンテンツを効率的に生成できます。
具体的な再活用例は以下の通りです。
* SNS投稿文の作成: チラシの内容に基づき、ターゲット層に響く魅力的なSNS投稿文を自動で生成させる。
* ランディングページ(LP)の作成: イベント集客用のLPについて、構成案から具体的なテキストまでを瞬時に作成させる。
* Webサイトコンテンツへの変換: チラシの情報を、Webサイトの記事やページコンテンツとして再構成させる。
これら一連のフローを使いこなすことで、一個人の情報発信能力は劇的に向上します。次に、これらの実現を可能にする具体的なツールの操作方法を見ていきましょう。
 

4. 実践ワークショップ:ツール別活用デモンストレーション

ここまでの理論的な説明を踏まえ、実際に各種AIツールをどのように操作し、アイデアを具体的な形にしていくのかをデモンストレーション形式で解説しました。それぞれのツールの特性を理解し、目的に応じて使い分けることが、AI活用の鍵となります。
 
4.1. NotebookLMによる議事録作成プロセス
会議の音声をテキスト化し、議事録を作成するまでのNotebookLMの具体的な操作手順が紹介されました。NotebookLMにおける「ソース」とは、AIに特定の参考資料のみを使った「持ち込み可の試験」を受けさせるようなものだと考えてください。AIは指定されたソース内の情報しか利用できないため、インターネット上の無関係な情報を引用することなく、提供された資料に忠実なアウトプットを生成します。
1. 録音データの準備: スマートフォンの「ボイスメモ」で録音したデータを、共有機能から「ファイルに保存」を選択し、アップロード可能なファイルとして保存します。
2. アップロード: NotebookLMで新規ノートブックを作成し、保存した音声ファイルをソースとしてアップロードします。
3. 指示(プロンプト): チャット機能(指示入力欄)を使い、「この音声の内容を分かりやすく文章にまとめてください」「要点を箇条書きにしてください」といった具体的な指示を出します。
4. 結果の確認: AIが「あー」「えー」といった不要なフィラーを自動的に削除し、文脈を整えた上で、非常に読みやすい文章を生成することを確認しました。
 
4.2. ChatGPT vs Gemini 画像生成比較
同じ指示でも、使用するAIによって生成されるアウトプットのスタイルは大きく異なります。「夏の賑やかな暑中見舞い」という共通のテーマで画像生成を依頼し、ChatGPTとGeminiの結果を比較しました。
* ChatGPTの生成物: 色彩が鮮やかではっきりしており、全体的に華やかで「めでたい」雰囲気が強く感じられるイラストが生成されました。
* Geminiの生成物: ChatGPTに比べると、比較的落ち着いたトーンで、独自の雰囲気を持つアーティスティックなイラストが生成されました。
この比較は、現代のクリエイターにとって不可欠なワークフローを示唆しています。もはや「最高のAI」を探すのではなく、目的に応じて使い分ける「ツールのパレット」を構築することが重要です。特定の世界観や機能的要件に応じて最適なツールを選択する能力こそが競争優位の源泉であり、複数のツールを組み合わせるアプローチは、高品質な成果物を生み出すための標準的な手法となりつつあります。
 
4.3. Soraによる動画生成の実践
静止画を手軽に動画へ変換するSoraの応用例として、以下の2つの作例が紹介されました。
* 作例1(イラストの動画化): ChatGPTで生成した「暑中見舞い」のイラストをSoraに読み込ませ、イラスト内の要素(雲や太陽など)が自然に動く短いアニメーション動画を生成。
* 作例2(実写合成): 実際に撮影した阿蘇のカルデラの風景写真をSoraに読み込ませ、「火口からロボットが出てくるように」と指示。これにより、実写とCGが自然に融合したような、インパクトのある動画が生成されました。
 
4.4. 音楽・ゲーム制作への応用
AIの応用範囲は、これまで高度な専門知識が必要とされてきた音楽制作やゲーム開発の領域にまで広がっています。
* 音楽制作: Suno AIといったツールを使えば、「サザンオールスターズ風の曲を作って」のような簡単な指示だけで、著作権フリーのオリジナル楽曲を生成できます。歌詞もChatGPTに相談しながら作成することが可能で、誰もが作曲家になれる時代が到来しています。
* ゲーム開発: コンピュータ言語の知識がなくても、「ミサイルを迎撃するインベーダーゲームのようなものを作って」といった自然言語での指示だけで、ブラウザ上で動作する簡単なゲームを開発できる事例が紹介されました。
これらの事例は、AIがもはや一部の専門家だけのものではなく、あらゆる人の創造性を解放するツールへと進化していることを明確に示しています。
 

5. AIの将来展望とクリエイターに求められる資質

本勉強会の締めくくりとして、AI技術の急速な進化が社会や個人のあり方に与える影響について、未来像が考察されました。AGI(汎用人工知能)の到来が予測される中で、人間に求められる役割は大きく変化していきます。
議論の中で共有された未来予測と、それに対する人間の役割についての見解は以下の通りです。
 
* 専門家の仕事の変容: イラストレーターやWebデザイナー、プログラマーといった専門職の「作業」部分はAIに代替されます。人間の役割は、「何を作るか」「何のために作るか」といった、より上流工程における構想力や企画力、ビジョンを提示する能力へとシフトします。

* 「教養」の重要性: AIに的確で質の高い指示を出すためには、文学、哲学、芸術史といった幅広い分野の知識や原体験に基づく「教養」が不可欠となります。なぜなら、豊かな語彙、そして文化的、歴史的、芸術的な深い知識や体験こそが、AIを新しく、繊細で、真に魅力的な作品の生成へと導く指示(プロンプト)を生み出すための原材料となるからです。この人文的な基盤がなければ、プロンプトは凡庸なものに留まり、結果もまた同様となります。


* 日本の役割: 「ドラえもん」や「鉄腕アトム」に代表されるように、人間に寄り添い共存するAIの物語を文化的土壌として持つ日本人がAIを活用することで、より倫理的で平和的なAIの発展に貢献できる可能性が示唆されました。

* 倫理的な課題: AIによる精巧なフェイクニュースの拡散や、悪意ある利用による社会的混乱のリスクも存在します。だからこそ、技術から目を背けるのではなく、積極的に「使う側」に立ち、その特性とリスクを理解することが極めて重要です。
 
本日の勉強会から得られるべき核心は、私たちが歴史的な転換点にいるという事実です。AIはもはや周辺技術ではなく、創造活動の基盤となるツールとなりました。私たちの前に突きつけられた選択は、AIに関わるか否かではなく、「いかにして関わるか」です。これらのツールを習得することは、自らの未来を他者に委ねる受動的な観察者ではなく、未来を自ら設計する創造主となるための、主体的で能動的な選択なのです。
 

6. 質疑応答、決定事項および次回について

勉強会後半で活発に行われた質疑応答の要点は以下の通りです。
* Q1: ChatGPTと音声で会話はできますか?
* A1: はい、可能です。スマートフォンのアプリ版では、ヘッドフォン型のアイコンをタップすることで、人間と話すように自然な音声での対話ができます。
* Q2: 複数のAIを試す場合、どのような使い分けが良いですか?
* A2: 3つの主要なAI(例:ChatGPT, Gemini, Grok)に同じ質問を投げかけ、それぞれの回答を比較検討することが推奨されます。特に、行政文書のような公的で硬い文章の作成はClaudeが得意など、ツールごとの特性を把握すると効果的です。
* Q3: YouTubeの長い動画の内容を要約できますか?
* A3: はい、可能です。特にGeminiはGoogle傘下のためYouTubeとの連携に強く、2時間のような長尺動画でもURLを読み込ませるだけで、要点を数秒でまとめてくれます。

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* 決定事項・アクションアイテム:
* 次回の勉強会までに、今回学んだツール(特にNotebookLMでの音声テキスト化や、Soraでの動画生成など)を各自が実際に試し、何かしらの作品を一つ作成してみる。
作成した作品や試した結果は、LINEグループで積極的に共有し、互いの知見を深め、さらなるスキルアップに繋げていきましょう。